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上告人が本件マンションを購入した平成26年8月から今日に至るも、管理規約には、区分所有者は別に定める細則により駐車場を使用できる旨の規定があるが有料との規定はない。当時、細則にもその規定はなく、任意の駐車区画を使用の都度自由に選択して使用できる規定の基、申込書を提出して許可証を得る手続きにより無料使用契約を締結した。他の区分所有者も皆同様である。
平成27年8月、多数であるリゾート者には無料使用の契約更新を保障し、少数である居住者には駐車場不足の原因と責任を転嫁して有料の新契約とする議案の普通決議により細則改定をした。
区分所有法19条、30条には費用の負担割合、区分所有者相互間の事項は規約で定める事項とあり、規約でなく細則で定めた本件細則は内容も改定手続きも同条及び規約に違反し、違反により少数区分所有者が受ける31条後段の不利益は金額に無関係に不当で受忍できない。よって細則の無効確認を求めたものである。
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平成26年8月当時、駐車場使用状況は相当の余裕があり、一部の者は2台使用を求め、規約・細則に反して許可された。当然に、駐車場は不足となり、増設のためのアンケートが行われ、結果が8月の通常総会議案書に別紙として添付された(甲第1号証)。それから読み取れる下記情報は証明の必要のない真実である。
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(1)
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題目11のマンション使用状況は、居住用71、リゾート120、賃貸10、無回答2、計203であり、全戸数376との差173につき記載はなく、賃貸者の所有と推定される。
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(2)
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題目4以外の各題目の計は203、題目4駐車料金については①現在のまま71、②有料にする39、③2台目有料118、無回答2、計230で27多い。①は2台使用不可③は可、②は1台でも有料③は1台なら無料と条件が相反し、複数選択はあり得ない。複数選択容認との記載もない。区分所有法44条占有者の意見陳述権により参加した賃借人等と推定される。
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(3)
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①は(1)の居住用に等しく、③はリゾートに畧同じ、②は賃貸と27の和に畧同じである。居住用と27の和は99で駐車区画の105を畧埋める。居住用は全て駐車場を使用している分けではないから、区分所有権を持たず、規約や細則が使用を認めない居住者は27より多い。駐車場不足の真の原因はこの事実であり、駐車場使用細則の改定はこれら賃借人等の利用を規約変更なく区分所有者と同等と明文化したものである。
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国税庁は平成24年に、マンション管理組合が行う駐車場貸出しの収益事業判定に関する統一見解を関連各方面に周知し、甲第11号証をホームページに掲載した。同証のP3〜5の要旨は、空き駐車場を外部貸しする場合の判定を下記(1)(2)とする。
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(1)
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区分所有者が対象の場合は共済的事業であり、駐車料金は駐車場の敷地を特別に利用することによる「管理費の割増金」と考えられ、使用料収入は管理費又は修繕積立金の一部に充当されるから収益事業たる駐車場業に該当しないと解する。
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(2)
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区分所有者以外の使用は、区分所有者対象の共済的事業とは言えず、料金収入は区分所有者以外からの収入であるから管理費の割増金とは言えない。料金収入は管理費又は修繕積立金の一部に充当するから外部利用分は収益事業となる。この場合、新たな区分所有者の使用を妨げられない。明け渡しがなく、妨げられる場合は区分所有者の利用も共済的事業とはいえないから収益事業に該当し、全体が駐車場業となる。
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(3)
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本件新使用細則は居住区分所有者と賃借人等の使用条件が同じで上記の妨げがあり、国税庁は駐車場業と判定する。税理士である被上告人代表者はこれを熟知していると推定される。
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一般有料駐車場の料金設定法は概略以下の通りである。
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(1)
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駐車場の維持管理に要する費用を駐車区画数で割り、1区画の収益を加えたものが月極料金である。
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(2)
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日割は分割払いであるから一月の使用日数が少ない程単価は高くなる。数人での使用で必ず一月の日数(30とする)利用するなら単価は月極料金の1/30になるが、利用する人数も日数も各自の自由勝手なのでそれはあり得ない。一般的には統計的期待値として利用日数は平均13%と見做され、4日で月極料金になる。この単価でないと駐車場経営が成り立たない。利用日数が5日でも6日でもこの単価は変わらないが、日割利用が損しているのでも月極に対して不公平でもない。13%は平均値で、利用は自由勝手の保障を買っているのである。
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(3)
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マンション駐車場の場合は共済的事業であり、利益分が除かれ、場合により外部駐車場を借りる料金が加算されるが計算は変わらない。本件新使用細則はリゾート者の15日以内利用は無料とするが、かかるマンションは他に存在しない。日割が月極より単価高なのは社会通念である。税理士事務所を経営する被上告人代表者はかかる社会通念は熟知してると推定される。
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