平成28年(ワ)第11号 駐車場利用細則無効確認請求事件

原告 若林昭夫

被告 春日居ライフピアマンション管理組合法人


第 4 準 備 書 面

平成28年7月11日 

甲府地方裁判所民事部合議B係 御中

原告 若林昭夫(印) 


頭書事件について、原告は、下記の通り弁論を準備する。

第1

 被告第2準備書面(被告②)における自白等による争点整理

1 (1)

 被告②第1は原告②を飛び越え訴状の請求の原因7に対する反論であり、本来は被告①と同じ位置にあり、原告②が反論の権利を持つが、実際は原告②の後にありその権利を奪っている。又、本来は原告②を引用した反論はできないが、この場合はできる。この時期に遅れた反論は無効である。

(2)

 故に、被告②第1に後続する原告③第1、被告③第1は請求の原因に関係なく、この三者の引用も同様である。

2(1)

 被告②第2の1で被告は原告②第1の全ての項目に対し沈黙し、認めると自白した。(原告③第2の1に指摘)

(2)

 従って、被告①第2の全ての項目は否定され、訴状の請求の原因に対する答弁の効力を持たない。即ち、請求の原因の全ての項目に対し、被告は認めると自白した。

(3)

 残る、被告①第3[被告の主張]に反論する原告②第2に対する反論は被告②第2の2以降に記載がなく、沈黙し、原告②第2を全て認めると自白した。

(4)

 従って、被告①第3の1[細則制定の経緯]第3の2[有料化の必要性・合理性]に関する被告の主張は正当性がないと認める自白をした。故に、被告①は全て否定された。

3(1)

 被告②第2の2には、原告②第1の各所(被告②第2の2(1)に列挙)で引用した区分所有法19条に関する独善的な解釈が記されている。これ等の内第10項迄は、被告②第2の1で被告は認めると自白した内容である。その他もこの自白が否定する。

(2)

 被告②第2の3には原告②第3[原告の主張]の第2項の反論が記載され、第1項(1)〜(5)については沈黙し、賃貸戸数173、その内の駐車場不正利用者27等の原告の主張を認めると自白した。

(3)

 故に、被告②は原告②第3の2を除き全てを自白した。従って、被告②第2に後続する原告③第2、被告③第2は請求の原因に関係なく、この三者の引用も同様である。

第2

 被告第3準備書面(被告③)による争点整理

1(1)

 被告③第4は被告②第2の1の自白を撤回する旨、意味の無いことを長々と述べているが自白の撤回は認められない。被告③第4は民法90条により無効である。

(2)

 仮に自白の撤回でないと仮定しても、この項目の主張は被告②第2の1にある筈のもので、原告③に反論の権利があったが、後ろにあるためその権利を奪われた。時期に遅れた反論であり、被告③第4は無効であることに変わりがない。

(3)

 原告③第2の1に自白を指摘され、被告③第2の1に被告②第2の1と同じ内容を書き、更に、被告③第4に原告②第1に対する反論を追加した。これは、被告②第2の1の記載が実質的に沈黙であることを自ら確認したものである。

 被告③第1は原告③第1の反論、これは被告②第1の反論であるが、本準備書面第1の1により被告②第1が無効であり、請求の原因7の反論として意味を持たないが、幾つかの点に反論する。

(1)

 請求の原因7は原告の承諾を得る手続きを怠ったことを問題とする。不利益が受認すべき範囲か否かは原告が判断することである。承諾を得る手続きでその範囲を論じてもよいが、納得がなければ裁判を要する。この手続きなしに原告の財産を被告が勝手に処分するのは強盗である。多数決の処分は集団強盗である。

(2)

 区分所有法19条は、原則の変更には規約に明文の規定を要求する。本マンション規約には25条2に原則を適用する旨の明文の規定がある。被告は、規約15条は全てを細則に委ねている等と常に独善的な主張をするが、規約15条は原則の変更を細則に委ねる旨の明文の規定を欠く。細則による原則の変更は同法19条違反である。

(3)

 被告③第1の2(2)の区分所有者の分布は原告②第1の1(3)で主張し、被告②は認めると自白した。庭に駐車場を造るにつき、原告はプールの撤去を主張していない。湯への通路の東西にあり、役に立たない芝生と庭木の部分と明記している。

(4)

 被告③のその余については全て否認ないし争う。理由及び反論は原告③及び被告が自白した原告②、更に、原告③第3に追加補足して、以下の本準備書面第3に述べる。但し、原告③第3は、時系列的に述べた請求の原因を静止的に見た原因、即ち、細則の持つ無効理由として書き換えたものである。又、原告③第3の3は請求の原因にないが、被告が関係あると主張するので取り上げた。しかし、何れも本準備書面第1の2に示したように、被告②が原告の主張を認めると自白していることに変わりない。

第3

 原告の主張

 本件駐車場利用細則の内容的な無効理由。

(1)

 本件駐車場利用細則(以後、新細則という)甲6乙7の附則には第38期通常総会で決議した改訂利用細則(以後、38期細則という)甲4乙6を廃止する記載がない。これは二つの細則が生きてる二重細則であり、下記の各項に述べる下心によるものである。両細則とも民法90条公序良俗に反し無効である。
 被告③第3の1(1)は、全ての弁論に見られるように、廃止すると書いてないことが都合よければ書いてないから有効と主張するが、この場合は都合が悪いから新細則施行により無効と主張するもので公序良俗に反する。

(2)

 38期細則は第2条2に駐車場を利用できる自動車は、乗用車又は貨物兼用乗用車とするとあり、原告が日常の交通手段とする軽トラックの利用を禁じている。これは、憲法の保障する自由の侵害、及び異議を唱える原告を排除せんとする個人攻撃、人権侵害であり、民法90条公序良俗に反し無効である。
  被告③第3の1(2)は虚偽主張である。軽トラックを含めないと書いてないから含める趣旨であると主張するもので公序良俗に反する。法律的にもデイーラーや工場においても貨物兼用乗用車とはトラックを含む等の定義はない。

(3)

 新細則は、原告の内容証明(甲5)による憲法違反の指摘により、38期細則にあった車種制限は削除した。しかし、第6条には申し込みを受けたときは理事会で審査し適否を決定するとあるが、細則なのに審査基準は何も記していない。原告の申し込みに対しては38期細則の車種制限を理由に拒否するために、38期細則の廃止を新細則附則に記載していないのである。両細則は公序良俗に反し無効である。
 被告③第3の1(3)は虚偽主張である。新細則11条には、駐車料金は自動車の所有関係及び自動車の種類により区分して設定できるとある。被告の得意な公序良俗に反する論法によれば、自動車の種類に軽トラックを含めると書いてないという使用拒否もあり得る。

(4)

 新細則第2条は組合員又は居住者が駐車場利用可能と述べ、区分所有権を有しない、共有者、同居者、賃借人等も利用できるとする。新細則は、下記に示す矛盾及び規約違反があり、公序良俗に反し無効である。38期細則も同様である。

 新細則第5条は区分所有権を有しないものは申し込みをすることが出来ないとあり、第2条は矛盾である。
 被告③第3の1(4)イ は虚偽主張である。申込の出来ない者は利用できない。下記、ロ、ハ、ニ。

 又、同第14条2は第三者に駐車場を使用させることは禁止事項とある。第三者とは区分所有権を有しない者であり、第2条は矛盾である。
 被告③第3の1(4)ロ は虚偽主張である。第三者とは組合員又は居住者以外等という規定は何処にもない。下記、ハ、ニ。

 【使用及び共同生活の秩序維持に関する細則】(甲2乙2)第2条(13)駐車場使用者とは管理組合法人から許可証の交付を受けて駐車場を使用する区分所有者を言うとあり、新細則第2条は矛盾である。
 被告③第3の1(4)ハ は虚偽主張である。定義とは駐車場使用者の意味の規定であり、この意味を表す語句は駐車場使用者という語句と同じということである。不正使用は慣習には成り得ない。被告の主張は公序良俗に反する。

 規約(甲2乙1)第16条2は第三者に使用させることができる対象から駐車場を除いている。新細則第2条は規約違反である。
 被告③第3の1(4)ニ は虚偽主張である。規約15条が第三者に使用させるか否かを細則に委ねているなら、16条2で駐車場を除く必要は全くない。他の条項や細則で利用させてはならないから16条2で駐車場を除いているのである。被告の主張は支離滅裂である。

追記5)

 規約25条2に、管理費等(敷地及び共用部分等の管理に要する経費に当てる費用)の額は各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出と、区分所有法19条の原則を適用する旨の明文の規定がある。それ故、従来、駐車場は無料なのである。新細則及び38期細則による駐車場有料化、居住区分所有者有料でリゾート者無料の差別は同法19条、30条及び規約25条2違反であり、公序良俗に反する。

 本件駐車場利用細則制定の手続的無効理由

(1)

 両細則の議案提出は、リゾート者は自らの都合で利用頻度が一月の日数に著しく足りない、即ち、受けられる利益を捨てているのであるにも関わらず、居住区分所有者の利用頻度が一月の日数で多大の利益を受けているから、前者は無料で後者は有料が公平であると主張し、又、利用資格の無い者に理事長が不正に許可を与えて駐車区画の三割を埋め尽くして駐車場不足の原因を居住区分所有者に転嫁する等、まるで暴力団の言いがかりにより行われた。議決は、居住区分所有者の駐車場利用に二千円の負担を課すため、リゾート者の負担を零円とする二千円相当の賄賂を与えた議決である。斯かる公序良俗に反する議案提出、議決を容認すれば管理費や修繕積立金も居住区分所有者が負担せよとの議案が提出され議決される。本件、公序良俗に反する議案、議決は無効である。

(2)

 駐車場の有料化は費用負担や利益収取を区分所有法19条の例外規定により持分から他の割合に変えることで、規約に別段の定めが必要である。管理費等請求事件、東京地裁平元(ワ)6195号(平2・7・24民15部判決、棄却(控訴))は、別段の定めを、19条の原則を変更する旨の明文の規定と述べる。規約乙1にはその明文の規定はなく、第25条2に管理費等(敷地及び共用部分等の管理に要する経費に当てる費用)の額は各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出とある。これは19条の原則を適用する旨の明文の規定である。本件細則による有料化は同法19条及び同法30条(規約事項)違反であり、公序良俗に反する。

(3)

 上記判例は、規約に明文の規定を欠き、当該者の承諾等特別の事情のない場合は(同法31条1項後段に相当)、一定の範囲を越える差異を設ける規約、決議は民法90条に反すると述べる。更に、差異を1.651倍に設定したのは合理的限度を越えた差異を設ける不公平な(受認の限度を越える)もので、区分所有法の趣旨、公序良俗に反し無効であると論ずる。本件駐車場有料化は規約に同法19条の原則を変更する旨の明文の規定を欠き、原告の承諾なく(甲5、甲9)、リゾート者の負担は零円、居住区分所有者の負担は、共有権及び利用権を消滅させ、その部分に対する管理費用は従来通り徴収し、更に、二千円を課すものである。その差異はリゾート者の負担1に対し無限大であり、公序良俗に反する。

(4)

 被告代理人は常に居住区分所有者の負担二千円が近隣駐車場料金に比べて相応であり、リゾート者との間に不公平はない等と全く意味のない、公序良俗に反する弁論を展開する。上記判例のように、リゾート者の負担零円に対して二千円の負担が相応である根拠を示す必要がある。近隣の駐車場料金は無関係である。居住区分所有者に対しては高が二千円をケチケチするなというが、リゾート者にはいえないのは議案が反対されるからで公序良俗に反する。

 駐車場有料化の必要性と合理性

(1)

 甲1乙5の別紙アンケートによれば区分所有者203の内、居住71、リゾート120、賃貸事業10、無回答2、全戸数376の内賃貸戸数173、その内駐車場不正利用者27強である。不正利用者が駐車区画約三割を占める。
 被告③第3の3(1)は虚偽主張。被告②で自白。

(2)

 必要性とはその手段、方法以外では問題解決の出来ない事情である。被告は居住区分所有者に不当に二千円を課すことで問題は解決したというが、単に事実を述べたにすぎない。それ以外に方法がないという事情が必要性である。不正利用者27を有料外部駐車場に移せば有料化しなくても解決する。マンション南側の何の役にも立たない庭を駐車場にすれば60〜70台の駐車場ができる。芝刈りや庭木の剪定等の管理費用の削減にもなる。
 被告③第3の3(2)は困難の理由を欠く。困難でない。

(3)

 必要性がないのに有料化するのは合理性がない。上記の三つの場合を見るに、必要性は皆同程度だが合理性は大きく異なる。最も合理性の高いのは庭を駐車場にする方法であり、次は不正利用者を外部の駐車場に出す方法である。これらは区分所有法にも規約・細則にも反することなく問題解決ができる。最も合理性の低いのが本件細則による居住区分所有者を有料とする方法である。最も合理性の低い方法を採る理由は、リゾート者は無料という僅かな賄賂で賛成するし、居住区分所有者は駐車場不足の責任を転嫁すれば反対できないと被告理事長は考えたからである。被告理事長は是が非でも居住区分所有者を有料にしたいのであり公序良俗に反する。
 被告③第3の3(3)は非現実的の理由を欠く。

(4)

 居住区分所有者の有料化は第1段階で、最終目的は修繕積立金を取り崩して立体駐車場を建設し、自分達の資金を使うことなく賃貸事業用の駐車場を確保することである。その証拠は、原告第2準備書面の第3原告の主張の1項全ての細目に対して被告代理人が沈黙、即ち、自白した事実である。これは被告代表者理事長の修繕積立金横領の企てであり、駐車場有料化の合理性は全くなく、公序良俗に反する。

 以上のような公序良俗に反する管理運営を行う被告代表者理事長は著しく適格性を欠く者であり、被告はかかる理事長を解任するべきであることを重ねて進言する。


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