平成28年 () 11号 駐車場利用細則無効確認請求事件


原 告   若  林  昭  夫


被 告   春日手ライフ ピアマンション管理組合法人


第  3  準  備  書  面

平成28630日  


甲府地方裁判所民事部合羲B係  御中

被告訴訟代理人弁護士  丸 山 公 夫  

同   弁護士  前 田 直 哉  


1  原告第3準備書面第1に対する認否反論

 11項に対する反論

(1)

 原告は、第38期通常総会及び第39期臨時総会における各細則変更 (以下「本件細則変更」という。) による駐車場の有料化が、建物の区分所有等に関する法律 (以下「建物区分有法」という。) 19条及び同法30条に違反し、事実上の規約の変更なら同法311項後段の承認がなく無効であると主張する。

(2)

 しかし、被告第2準備書面第22(1) ないし (4)、及び被告第1準備書面第24(2)、並びに被告第2準備書面第11項及び第2(1) ないし(5) で主張するとおり、本件細則変更による駐車場の有料化は同法19条、30条及び311項後段には違反せず、有効である。

 12項に対する認否反論

(1)

 2(1) について

 第12(1) は否認ないし争う。乙161の判例は、建物区分所有法311項の後段の「特別の影響を及ぼすとき」の意義が、規約の設定・変更等の必要性及び合理性とこれによって一部の区分所有者が受ける不利益とを比較衡量し、当該区分所有関係の実態に照らして、その不利益が区分所有者の受忍すべき限度を超えると認められる場合であることを明らかにした上で、同項後段が規約の変更によらない集会決議についても類推適用ができる旨を判断したものである。また、乙162の判例は、従来無償とされてきた専用使用権を有償化し、専用使用権者に使用料を支払わせることは、一般的に専用使用権者に不利益を及ぼすものであるが、有償化の必要性及び合理性が認められ、かつ、設定された使用料が当該区分所有関係において社会通念上相当な額であると認められる場合には専用使用権者は専用使用権の有償化を受忍すべきであり、そのような有償化決議は専用使用権者の権利に特別の影響を及ぼすものではない、としたものである。そして、本件細則変更が「特別の影響を及ぼすとき」に該当しないことは、被告第2準備書面第1 2項で述べたとおりである。したがって、本件細則変更は、建物区分所有法311項後段に違反せず有効である。

 原告は、居住者に駐車場使用料を負担させることが民法90条に違反する旨を主張するが、前述の通り本件有料化は必要性及び合理性が認められかつ社会通念上相当な額であるため、公序良俗に反しない。また、原告は、居住者が2000円を負担しリゾート使用者が無料であることが公序良俗に反すると述べているようである。しかし、被告第1準備書面第24(4)、第5(1) (2)、第3被告の主張 (なお「第2」は誤植である。) 1(5) (6) で述べたとおり、本件細則変更でリゾート使用者と居住者との間で差異をもうけた趣旨は、駐車場の使用頻度に明らかな差があるため受益に応じて負担させる受益者負担の考え方にあり、合理的は区別を行ったものである。
 したがって、本件細則変更は、民法90条違反ではない。

(2)

 第2(2) について

 第2(2) は否認ないし争う。アンケート (15) は区分所有者のみに対して行われたものであり賃借人が回答をしたことはない。なお、「駐車場使用料金について」という質問に対して、複数の選択肢を選んだ区分所有者がいたため、回答数が230となったにすぎず、他の回答数203との差27は、不正利用者の回答ではない。原告は、至る箇所でこの27の差を不正利用者の人数であると断じて議論を組み立てているが、27という数字には何ら意味がない。

 原告は、ロで複数戸を所有する区分所有者が賃貸事業を営みその総戸数が173であると述べるがこの点は根拠がない。現在区分所有者のうち何人が賃貸しているかの正確な数は不明である。また、原告は、アンケートに回答しなかった173を賃貸戸数であると断じているが、これも根拠がない。原告のその余の主張は不明確であるが、本件細則変更は必要性合理性があり社会通念上相当な額を負担させるものであるので、公序良俗に反しない。

 原告は、ハで法的手続きがとられていないことを理由に公序良俗違反を主張するが、適正な手続きで本件細則変更がされていることは、これまで被告が述べてきたとおりである。したがって、本件細則変更の手続きについて公序良俗違反はない。

 原告は、ニで春日居ライフピアマンション (以下「本件マンション」という。)南の庭を駐車場に変えれば6070台の駐車場が確保できると述べる。しかし、本件マンションの庭に駐車場を増設するためには、庭にあるプールを撤去する必要があるが、区分所有者から当該プールの存続を求める要望があるため、本件マンションの庭に駐車場を増設することはできないのである。したがってこの案は現在採用できない。

(3)

 第2(3) について

 第2(3) は否認ないし争う。本件細則変更は、駐車場不足を解消するために、受益に応じた負担を目指したものであるので、必要性と合理性があり、公序良俗に反しない。

(4)

 第2(4) について

 第2(4) は否認ないし争う。社会通念上相当額であるか否かは、前述の受益に応じた負担を考慮に入れながら近隣の駐車料金と比較する等の総合的な判断が行われる。そして、本件細則変更は、社会通念上相当額であると いえることは、これまで述べたとおりである。

(5)

 第2(5) について

 第2(5) は否認ないし争う。


2 原告第3準備書面第2に対する認否反論

1

 第21項に対する認否反論

 第21項に対しては、否認ないし争う。被告第2準備書面第21項で述べたとおり、原告の主張は訴状とほぼ同様であるので概ね否認ないし争うものである。ただし、誤解を防ぐために、後記第4で詳述する。

2

 第22項に対する認否反論

(1)

 第22(2) は否認ないし争う。被告第2準備書面第22(2)及び(4)は、東京高等裁判所判決昭和62527(事件番号昭和5 8() 1598) の論理を述べたものである(なお、判決当時の法令は、旧建物区分所有法13条、14)

(2)

 第22(3) は否認ないし争う。原告が指摘する那覇地裁判決平成16325日は、建物区分所有法18条の「管理」の範囲にあるか否かの判断は、単に形式的にその規定文言のみに基づき判断するのではなく、その規定が設けられた経緯、趣旨をも踏まえて、その規定の意味合いを実質的に勘案して判断する必要があるとしたものである。そして、当該判決の事案は問題となった細則が、従前から駐車場の特定区画が先着順で駐車場契約をした特定の区分所有者らにより専用使用されていた実態を容認し、今後も当該区画について、事実上同人らの優先的な使用態勢を維持存続することを意図して制定されたものと認められたため、管理の範囲を超えるとしたものである。
 しかし、本件細則変更の場合、そもそも従前の駐車場使用者は特定の区画を使用する権限がなく、今回の細則変更では、従前使用していた者は優先的に使用できず、新たに使用を希望する者も含めて居住者であれば誰でも抽選をすることが可能となっていることから、この判決とは事情が異なる。また,本件有料化の規定が設けられた経緯、趣旨は、被告第1準備書面第3被告の主張及び被告第2準備書面第12項のとおりである。したがって、本件細則変更は、「管理」の範囲にあり、集会決議のみで足りる。

(3)

 第22(4) は、否認ないし争う。原告が指摘する東京地裁判決平成2724(事件番号平成元年() 6195) は、区分所有建物における管理費等の徴収額につき、法人組合員と個人組合員との間で差を設けた決議が、管理費等の負担能力の差という理由以外あまり合理的な説明がなく、かつ、負担能力に応じた区分として法人と個人という区分は不適切であることから、合理的限度を超えた差別的取扱いであるとして民法90条違反としたものである。しかし、本件の場合、居住者とリゾート利用者との間には、駐車場の使用による受益の程度に明らかな差があり、受益が多い居住者に毎月2000円の駐車料を徴収することは、合理的な範囲内の取扱いに当たることは、これまで被告が述べてきたとおりである。したがって、本件細則変更は、公序良俗に反せず民法90条違反にはならない。

3

 第23項は否認ないし争う。

3  原告第3準備書面第3原告の主張に対する認否反論

1

 第31項は否認ないし争う。

(1)

 第31(1) は、否認ないし争う。第38期通常総会で決議した改定利用細則 (以下「38期細則」という。) は、施行される前に本件駐車場利用細則 (7、以下「新細則」という。) に改定されたため、現在38期細則は効力がなく、実際に施行されている細則は、新細則のみである。そして。いずれの細則も民法90条の公序良俗に反しないことは、これまで述べたとおりである。

(2)

 第31(2) は否認ないし争う。38期細則は、貨物兼用乗用車に軽トラックを含める趣旨であり (同細則22) 軽トラックの利用を禁じていない。したがって、38期細則に原告を排除する意図はなく、同細則は民法90条に違反しない。

(3)

 第31(3) は否認ないし争う。新細則に審査基準を規定する必要性は特にない。また、新細則には「日常生活に必要な車両」と規定されており。車種による制限を予定していないので原告が主張するように車種制限を理由に申請を拒否することはない。よって、38期細則及び新細則は公序良俗に反しない。

(4)

 第31(4) は否認ないし争う。イについて、新細則第2条は同第5条と矛盾しない。なぜなら、新細則第5条は、申込み手続きをする者を区分所有者に限定するだけであり、区分所有者からの賃借人等の駐車場使用を禁ずるものではないからである。区分所有者のみが申込み手続きができるとした理由は、新細則がー戸について一区画の利用を認めており、手続きを簡明にするためである。ロについて、新細則第2条は、同第142号と矛盾しない。なぜなら、新細則142号の「第三者」とは、組合員又は居住者以外の者を指すからである。新細142号は、居住者の使用を認める反面、居住者以外の第三者の使用を禁ずることによって、多くの希望者に駐車場を利用させようとする趣旨だからである。
 ハについて、新細則第2条と使用及び共同生活の秩序維持に関する細則(以下「秩序維持に関する細則」という。) 213号は、矛盾はしない。なぜなら、秩序維持に関する細則213号は、定義規定であるが、新細則の各規定で適用ないし準用する条項はなく、両者は関係がないからである。なお、秩序維持に関する細則213号が適用されていた当時も、区分所有者から賃借した居住者の駐車場使用が認められており、特に秩序維持に関する細則213号と新細則2条との間では内容的矛盾はない。ニについて、新規則2条と春日居ライフピアマンション管理規約 (以下「本規約」という。)162項は矛盾しない。なぜなら、本規約15条により駐車場等の使用については、全て細則に委ねる形で規定したため、本規約162項が駐車場を除外する規定となったからである。

2

 第32項に対する認否反論

(1)

 第3第2(1)は否認ないし争う。両細則の議決は、何ら賄賂をリゾート利用者に与えたものではなく、公序良俗に反しない。

(2)

 第3第2(2)(3)(4)は否認ないし争う。第22(3)で述べたとおり東京地裁判決平成2724(事件番号平成元年() 6195) は、法人組合員と個人組合員との間の差別的取扱いに合理性がないことを理由として民法90条違反を認めたにすぎない。本件の場合、リゾート利用者を無償にし、居住者から2000円の駐車料を徴収することは、必要性合理性があり社会通念上相当な金額であるため、民法90条違反にはならない。

 第33項に対する認否反論

(1)

 第33項(1)は否認ないし争う。アンケートの回答者は全て区分所有者であり、不正利用者はいない。

(2)

 第33(2)は否認ないし争う。通常「必要性』には、他にとりうる 手段がないということまでは要求されない。また、マンションの庭の一部を駐車場にすることは、そもそも困難であるため、手段としては不適切である。

(3)

 第33(3)は否認ないし争う。本件有料化は必要性がありかつ合理的である。原告の主張する方法のうち、マンションの庭の一部の駐車場化は非現実的であり、不正利用者の排除もこれだけでは駐車場不足が改善できないため、いずれも不十分な方法である。本件有料化は合理性があり何ら公序良俗に反しない。

(4)

 第33(4)については否認ないし争う。詳しくは第4で述べる。

4  原告第2準備書面に対する認否反論

 原告第2準備書面に対しては、被告第3準備書面第2において既に認否反論を行っているが、原告に誤解を生じさせないようにするため、再度認否反論をする。

1

 第11項は否認ないし争う。(3) について、本規約162項については、前記第31(4) 及び被告第1準備書面第29(4) に記載したとおり、本規約15条で駐車場等の管理について規定をしたため駐車場を除外したのである。

2

 第12項は否認ないし争う。被告は、被告第1準備書面第22項で述べたとおり、懇談会で区分所有者の意向を確認した上で有料化の決議をしたのである。なお、懇談会での意向確認は、その場で決議をするわけでもないので特に全員の意向を確認する必要がなく、どのような意見があるのかを聞いたものである。

3

 第13項は否認ないし争う。本件細則変更が建物区分所有法19条に違 反していないことについての被告の主張は、被告第2準備書面第22項に 述べたとおりである。

4

 第14項は否認ないし争う。

(1)

 同項 (1) について、原告は不正利用者を27人と断じているがこのような事実がないことは被告第1準備書面第29(5) で述べたとおりである。

(2)

 同項 (2) について、建物区分所有法301項が細則による規定を禁止していないことは、被告第1準備書面第24(2) の通りである。

(3)

 同項(3)について、近隣駐車場の料金は、乙141から乙145までの証拠により明らかである。

(4)

 同項 (4) について、建物区分所有法19条の趣旨は被告第2準備書面第22(2) で述べたとおりであり、費用負担や利益収取をどのように定めるのかは、区分所有者の意思委ねることが原則であるので原告の主張は失当である。そして使用頻度に応じて費用負担と利益収取を定めることも合理性があり不当ではない。

(5)

 同項(5)について、原告の主張は一部共有部分の考え方が不明確であるため、論旨が不明である。

5

 第15項については否認ないし争う。被告の主張は、一戸につき一台の駐車を認めるとともに、駐車場の利用頻度の高い者が駐車場から受益を多く得ているので利用頻度の高い者に負担させることを根拠に有料化しているのであって、一部の区分所有者が複数台駐車していることを根拠に有料化するわけではない(訴状第25(1) 参照)。おそらく、原告は、駐車場を使用頻度で区別するのではなく、リゾート利用者と居住者の全てを形式的に平等に扱うべきと主張しているものと思われるが、この考え方は実質的に不平等な結果を招く。なぜなら、有料化が必要な場合、全く駐車場を使用しない者にも負担をさせることになり、これは平等な負担とはいえないからである。原告は、駐車場を利用しない者は、駐車場を利用する利益を放棄したに過ぎず、負担は全て平等に負うべきと考えるのかもしれないが、このような見解は理解を得ることができないと思われる。なお、再三述べるとおり、不当利用者が27人いるという原告の主張は理由がない。

6

 第16項は否認ないし争う。軽トラックは38期細則22項の「貨物兼用乗用車」に該当するため、軽トラックの利用を禁じていない。また、現在は、新細則が適用されるだけであり、38期細則は適用されない。

7

 第17項は否認ないし争う。本規約15条は、駐車場の使用について使用細則によって定めるとしている。そして、本規約15条の「駐車場の使用」とは、何ら制限がないことから、当然、駐車場使用料の設定も含むと解される。なお、建物区分所有法19条が駐車場の負担の変更は規約のみができ、新細則は規約ではないので負担の変更を新細則で行うことはできないという原告の主張は誤りである。なぜなら、本規約15条は、駐車場の使用については細則によって定めるという「別段の定め」をしており、区分所有者の内部自治に委ねるという建物区分所有法19条の趣旨によれば、本規約15条に従い、新細則の規定で決めるべきだからである。
 したがって、新規則は建物区分所有法第19条に反しない。

8

 第18項は否認ないし争う。新細則は、38期細則の内容に関して 有料駐車場の駐車場所を先着自由選択制から固定制に変更駐車場許可条件の明確化駐車料金支払いの明確化「駐車場利用規則」の廃止を目的とした改正案として提案され、適切に決議されたものであり、両細則は同一の内容ではない。本規約及び新細則に、原告が主張する「一事不再議の原則」が適用されるか否かはともかく、本件細則変更は原告が主張する「一義不再議の原則」には違反しないと思われる。

9

 第19項は否認ないし争う。

(1)

 (1) については、前述の通り、新細則は、内容的には38期細則を改定したものであるが、手続的には、38期細則を廃止して新細則を成立させたものである。

(2)

 (2) については、建物区分所有法19条の趣旨は、前述の通り区分所有者の内部自治に委ねる点にあるため、規約が優先されるのである。そして、規約が具体的内容について細則に委ねているのであれば、細則の設定、変更により管理費を定めることができる。したがって、本件新規則は同法19条に反しない。

(3)

 (3) については、全てのアンケートの無回答者とは、アンケートを返送した者のうち当該質問に対して回答しなかった者をいい。アンケートを返送しなかった者は含まれない。したがって、現存する区分所有者が203名で あるという原告の主張は根拠がない。

(4)

 (4) については、原告は、新細則2条が秩序維持に関する細則213号、同21条、同251項及び2項に反すると主張していると思われるが、これは誤りである。まず、現在は、秩序維持に関する細則21条、同25条は、新細則が制定されたことにより廃止されている (3、附則)。したがって、現在、新細則と両条文が矛盾することはない。また、新細則2条の「居住者」とは区分所有者以外の賃借人等を含むものであることは、原告の主張するとおりである。しかし、この規定は、秩序維持に関する細則213号が、駐車場使用者の定義を「管理組合法人から許可証の交付を受けて駐車場を使用する区分所有者をいう」と規定したことと矛盾しない。なぜならば現在、新規則は、秩序維持に関する細則とは別個に規定されており、秩序維持に関する細則213号の定義規定が新規則に適用されることがないからである。さらに、新規則が制定される以前において、秩序維持に関する細則21条及び同25条が適用されていた当時も、区分所有者から賃借した居住者は、駐車場の利用が認められていた。これは、秩序維持に関する細則202項の「マンションに居住され、日常生活に必要な車」に居住賃借人の車両が含まれ、かつ、秩序維持に関する細則25条の「第三者」には、区分所有者から賃借して居住する者が含まない趣旨だったからである。このように、秩序維持に関する細則213号は、区分所有者から賃借し居住する者が駐車場を利用することを認めることと内容的に矛盾しない。したがって、秩序維持に関する細則213号と新細則2条は内容的にも矛盾しない。
 なお、新細則2条は、駐車場利用に関して賃借人を区分所有者と見なす規定ではないため、建物区分所有法30条に違反するという原告の主張は理由がない。

(5)

 (5)については、 アンケートの27名は、区分所有権者が選択肢を2つ選んだだけであり不正利用者ではない。したがって、27名を不正利用者であるとすることを前提とした原告の主張は理由がない。

(6)

 (6) (7) (8) について、否認ないし争う。新規則11条は、駐車場に関する様々な状況を総合的に考慮した上で有料駐車料金を定めるとしたものである。現在は、新たな有料駐車場の維持管理費や、近隣の有料駐車場の使用料等を考慮しながら毎月2000円という金額を設定したのであり、管理費の二重取りということはない。また、新細則が建物区分所有法19条に反しないことは従前述べたとおりである。

10

 第110項について、否認ないし争う。(1) について、本件新細則制定は、建物区分所有法19条、同30条、同311項及び本規約476項に違反しないことは、これまで述べてきたとおりである。(2) について。被告は原告に対し、何ら害悪の告知をしておらず、脅迫行為はしていない。

(3) から (6) について、否認ないし争う。

11

 第111項は争う。

12

 第21項は概ね否認ないし争う。27名が不正利用者であるという事実はない。アンケートの結果は、乙529頁のとおりであり、「有料にする」が39名、「2台目有料」が118名であり、「現在のまま」が71名であるとすると、有料化反対が大多数という事実はない。なぜならば、「2台目有料」という回答は、駐車場不足を解消するためには、経済的出損が必要であることを認めたものであり、現状のまま無料を維持すべきという考え方とはいえないからである。原告は、(5) (6) で原告がリゾート利用者を無料とすることで買収をしたと述べるが、これは事実ではない。新細則は、あくまでも受益者負担という考え方のもとで公平を図ったものである。また新細則が建物区分所有法第19条に違反しないことはこれまで述べたとおりである。

13

 第22項は、概ね否認ないし争う。被告が受益者負担を公平と考えていることは認めるが、この主張は何らでたらめではなく、建物区分所有法第19条にも反していないことは、これまで述べたとおりである。原告は、27名の不正利用者がおりそれらを排除すれば有料化しなくても足りると主張するがこれは誤りである。これまで何度も述べているように、不正利用者が27名いるという事実はないのであって、今回の有料化は必要性合理性のあるものである。さらに、社会的通念上相当な金額を駐車料金としているのであり何ら問題はない。

14

 第31項については、否認ないし争う。(1) について、賃貸者10名の各々が所有する複数戸の総数が173で、その内居住して駐車場を不正利用する者が27であるという事実はない。原告がどのようにしてこうした結論に至っているのかは不明であるが、アンケートは区分所有者全員に送付したが、回収されたのは203であっただけであり、この数には何ら意味はない。(2) について、居住している賃借人が駐車場を利用できることは従前述べたとおりである。(3) (4) について、27名の不正利用者というものは存在しないので、そのものを排除することによって駐車場不足が解消されるといった事情もない。(5) について、立体駐車場建設を誰が考えているのか不知であるが、被告にはそのような計画はなく、今回の有料化は立体駐車場建設とは全く関係がない。

15

 第32項は否認ないし争う。本件訴訟は、新細則の有効性の問題であり、被告代表者理事長の解任は請求の趣旨にも請求原因にもない。したがって、両者は無関係である。


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