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原告は神奈川県平塚市に長年住んでいたが、田舎暮らしをすれば極少ない資金でもマンションを入手できることを知り、平成26年8月に春日居ライフピアマンション417号を購入して9月下旬に居住を始めた。当時、駐車場は規約により無料であったが、12月の懇親会で有料化の話が出た。有料化の理由と原告の反論は以下の通りである。
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(1)
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駐車場を利用している人と利用しない人の間に不公平があるとの被告の発言に対し、原告は、他の共用施設と同様に利用するしないは各自の自由意志であるから不公平は無いと応じたが被告は受け入れなかった。
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(2)
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被告はアンケートの結果有料化賛成が多数と発言したが、甲第1号証アンケート4によれば賛成39、反対71である。この他に2台目は有料との票が118あるが、殆どは、交通費を2倍かけてリゾートに来る必要も無い者の票である。これを賛成票に入れるのは不当である。1台は無料の主張であるから反対票である。甲第2号証、規約・細則も2台の利用を認めていない。
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(3)
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被告は駐車区画が不足しているからとも述べたが、その大きな原因は不正に2台利用している者が多数居るからである。アンケート12項目の内、駐車場有料化以外の全ての項目で区分所有者の総数は203であるが、駐車場有料化の項目のみ総数は230である。その差27は区分所有権を有さない者である。
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(4)
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その27が駐車場のアンケートにだけ参加していることは、規約・細則に違反して被告が許可した不正利用者である。この数は駐車区画の総数105の3割近くになり、これを排除すれば駐車場不足は著しく改善される。不正利用者を排除し、一戸一台を守ることを要求したが被告はこれを受け入れなかった。
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平成27年6月再び懇親会が催され、原告は駐車場不足を緩和するために、区分所有権を有する者に限り、一戸一台を厳格に守ることが重要であると主張し、その実施を甲第3号証の文書を持って要求したが被告は受け入れず、有料化が必要との見解にこだわった。
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3
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平成27年8月8日に送られてきた第38期通常総会議案書に、駐車場有料化のための利用細則改訂(甲第4号証)が提案された。従来、規約により駐車場は無料となっている。有料化するには規約の変更が必要である。細則で変更するのは管理の範囲を越え、無効である。
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4
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その冒頭に、区分所有者の居住者(71人)及び1ヶ月に16日間以上の使用は有料、その他のリゾート利用者(120人)は無料とする提案とあり、以下に述べるように甚だしく不当、不公平な提案である。
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(1)
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区分所有法第30条は、駐車場等の管理又は使用に関する区分所有者相互間の関係は規約事項と定めている。細則でこれを規定するのは同法違反である。
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(2)
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利用頻度が多いほど安い、即ち、月極の場合数千円でも月極でない利用は一日千円程度が社会通念である。居住者は月極でリゾート利用者は無料は社会通念に反する。
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(3)
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この議案は、有料化賛成の義務(駐車料金支払)を果たさなくてよいリゾート利用者が居住者にその義務を負わせる区分所有者差別の議案であり、無効である。
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(4)
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議案に賛成するか反対するかは自分が結果の義務を負うか否かで決めるもの。自分は関係ないから他人に義務を負わすのは区分所有法の一部共用の規程にも反し、不正採決で無効である。
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5
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提案理由においても、有料化の必要性も合理性も認められない。
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(1)
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一部の区分所有者は複数台駐車しているとあるが、これは禁ずるべきものであって、有料化の理由では無い。アンケートの27人を禁ずれば約三割の空きが出来る。
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(2)
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日常的に使用している居住者から料金を取るとあるが、居住者はここで生活している者、リゾート者は遊びで利用している者であり、裕福な者が裕福でない者から搾取して経済的により楽に遊ぼうという考えで、社会通念に反する。
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6
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議案細則は乗用車及び貨物兼用乗用車のみ利用できるとし、原告が日常の交通手段としている軽トラックの利用を禁止している。これは個人の自由の侵害、原告を差別する人権侵害であり、憲法違反である。
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7
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議案細則は、区分所有法第30条に規定する規約事項を細則で不当に決議するものであるから、同法31条、規約47条6の承諾をしない旨の内容証明(甲第5号証)を平成27年8月17日送った。原告の承諾の無い同細則は賛成決議されたが、同法及び同規約に違反し無効である。
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8
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平成27年11月8日第39期第1回臨時総会が開催され、上記の無効な細則の更なる改訂案(甲第6号証)が上程された。しかし、無効により存在しない細則の改訂はあり得ないから、現行の細則の2度目の改訂であり、一事不再議の原則に反する。
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両者の違いは有料駐車場と無料駐車場に分けたことと利用できる自動車の種類等の具体的な表記を止め、被告の恣意的な審査に変えたに過ぎない。従って、重複記述は避けるが、上記3から7の前半迄の主張を再度主張し、更に、下記を追加する。
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(1)
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無料の駐車場を有料部分と無料部分に分けるのは共用部分の効用の著しい変更であり、区分所有者と議決権の各四分の三の多数を必要とするが、出席議決権の過半数のみで決議しており無効である。
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(2)
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アンケート11は現に実在する区分所有者は203であることを示している。残りの173の所在は不明である。複数戸の所有状況を明らかにすることを原告は求めたが被告はこれを拒否した。区分所有者の議決権や委任状等の開示を求められて拒否した決議は無効である。
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(3)
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議案細則は組合員又は居住者が利用可能としているが甲第2号証は区分所有権を持つ者のみ可能で第三者の利用を禁じている。組合員又は居住者とは区分所有権を有さない共有者、同居者、賃借人等第三者をも意味し、規約違反である。利用者相互間の関係は規約事項とする区分所有法第30条にも違反する。
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(4)
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被告は駐車区画は105あるが92が居住者の利用であると発言した。しかし、アンケート11によると居住者は71、原告を加えると72である。92からアンケートにある不正利用者27を引くと65が居住者で駐車場利用者、残りの7が利用していない者である。組合員又は居住者とは不正利用者を正当化するものである。
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(5)
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駐車料金の決定の根拠として示された、土地使用料以外の費用は現在も管理費で支払われているものであり、二重取りである。
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(6)
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駐車場の土地の登記上の所有権は管理組合法人にあるが、これは管理委任された代理権と言うべきものであり、外部に対して主張は出きるが区分所有者に対して主張は出来ない。よって、土地使用料を取ることは出来ない。
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(7)
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従来より、土地使用料は管理費に含まれておらず、税金は土地利用の有無に関わらず区分所有者が管理費として払っている。
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(8)
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近隣の駐車場不足の分譲マンションでの駐車料金は土地使用料ではない。マンション内の駐車場を無料で使用出来る者と、やむおえず近隣の有料駐車場を使用する者との負担の公平化のために徴収する調整金と言うべきものである。
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(9)
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この場合にも有料との規約がなければならない。春日居ライフピアマンションの管理規約にはその記述はなく、駐車場は無料である。議案細則は不正利用者が外部有料駐車場に払うべき料金を正当に利用する居住者に負担させるもので不当である。又、細則で有料化するのは規約違反、又は不当な規約変更であり、容認できない。
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10
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以上のいくつかを正当な理由に挙げて区分所有法第31条、規約第47条6の承諾をしない旨の甲第7号証を臨時総会へ提出する意見書に添付した。従って、本議案は無効である。しかし、被告は施行日(平成28年1月1日)前に施行を開始した。(甲第8号証)
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(1)
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有料駐車場の利用申し込みを11月16日開始、11月30日で締め切ると通知が来た。これは利用したければ承諾して利用申し込みをせよ、さもなくば利用させないとの脅迫である。無効故原告は無視した。
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(2)
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12月上旬、臨時総会決議により従来の細則は廃止され、駐車許可と許可証は全て無効になったとの宣言と、(1)の申込者に区画を割り当てる抽選会を12月27日に開くとの掲示がされた。この掲示は何の根拠もなく無効で、脅迫の追加である。
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(3)
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この時用意された有料区画は54で不正利用者27とその申請を行った27でいづれも不正利用者である。
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(4)
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原告は正当な理由により区分所有法第31条等の承諾をしていないとの確認文書を内容証明(甲第9号証)にて12月16日被告に送った。
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(5)
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原告が掲示の写真を証拠に撮ったら、被告は従来の細則廃止等の文言を削除、駐車区画図を変えた掲示を並べて掲示した。有料区画は65に変わり、9(4)で示した数値になる。これが居住区分所有者で駐車場を利用する真実の人数である。
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これらの事実は、被告がリゾート利用者120を使い、区分所有法及び規約を無視した普通採決で正当に利用する居住者に不当な料金を払わせるものである。このようなことを容認すれば、居住者に限り駐車料金値上げ、管理費及び修繕積立金の値上げ等に及ぶのは明白である。よって原告は請求の趣旨記載の判決を求める。
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