http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/bunshokaito/hojin/120117/index.htm

マンション管理組合が区分所有者以外の者へのマンション駐車場の使用を認めた場合の収益事業の判定について(照会)

(別紙)

国住マ第43号
平成24年2月3日

国税庁 課税部
 課税部長 西村 善嗣 殿

国土交通省住宅局
住宅局長 川本 正一郎

1 照会の経緯

 昨今のマンション事情として、マンションに設置された駐車場の利用者が減少し、空き駐車場が生ずるケースが増加しているところであり、マンション管理組合から、空き駐車場の有効利用につき相談が寄せられるケースが増加してきています。
 空き駐車場の有効利用に関して寄せられる相談の一つとして、空き駐車場を区分所有者以外の者への使用を認めた場合(外部使用)の課税関係があります。
 そこで、区分所有者以外の者へのマンション駐車場の使用を認めた場合のマンション管理組合に係る課税関係を整理したく、本件の照会を行うに至ったところです。

2 事実関係

 (1) マンション管理組合について

 区分所有法上の管理組合等
 建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」といいます。)においては、一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、区分所有法の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができるとされています(区分所有法1)。
 この建物の部分(規約により共用部分とされたものを除きます。)を目的とする所有権を区分所有権といい、区分所有者とは区分所有権を有する者をいいます(区分所有法2@A)。
 この区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、区分所有法の定めるところにより、集会を開き、規約を定め及び管理者を置くことができるとされており(区分所有法3)、この区分所有者の団体(以下「管理組合」といいます。)は区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議等を経て法人(以下「管理組合法人」といいます。)となることができるとされています(区分所有法47)。
 また、一団地内に数棟の建物があって、その団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含みます。)がそれらの建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合には、それらの所有者(以下「団地建物所有者」といいます。)は、全員で、その団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理を行うための団体を構成し、区分所有法の定めるところにより、集会を開き、規約を定め及び管理者を置くことができるとされており(区分所有法65)、この団地建物所有者の団体(以下「団地管理組合」といいます。)は団地建物所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議を経て法人(以下「団地管理組合法人」といいます。)となることができるとされています(区分所有法66、47)。
(注)
  1.  法人でない管理組合は建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うことを目的とし、法人でない団地管理組合は団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理を行うことを目的として構成された団体であることからすれば、共同の目的のために結集した人的結合体であって、団体としての組織を備えているものと考えられます。また、規約を定めることにより、多数決の原則が行われ、構成員の変更にかかわらず団体そのものが存続し、代表の方法、総会の運営、財産の管理等団体としての主要な点が確定していることを前提とすれば、法人税法上、人格のない社団等に該当するものと考えられます(法法2八、法基通1-1-1)。
  2.  管理組合法人及び団地管理組合法人は、法人税法その他法人税の規定の適用に当たっては、公益法人等とみなすこととされています(区分所有法47L、66)。

 マンションの管理の適正化の推進に関する法律上の管理組合等
 マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「適正化法」といいます。)におけるマンションとは、次に掲げるものをいうこととされています(適正化法2一)。

@ 二以上の区分所有者が存する建物で人の居住の用に供する専有部分があるもの並びにその敷地及び附属施設
A 一団地内の土地又は附属施設が当該団地内にある@に掲げる建物を含む数棟の建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地及び附属施設

 また、適正化法における管理組合とは、上記@及びAに掲げるマンションの管理を行う区分所有法上の管理組合及び管理組合法人並びに団地管理組合及び団地管理組合法人をいうこととされています(適正化法2三)。


 本件照会のマンション管理組合
 法律上、マンション管理組合の定義は存在しないところですが、上記のとおり、適正化法において、マンションが定義され、その管理を行う団体として管理組合、管理組合法人、団地管理組合及び団地管理組合法人が定められていることからすれば、マンションを管理する管理組合、管理組合法人、団地管理組合及び団地管理組合法人がいわゆる「マンション管理組合」に該当するものとも考えられますが、説明を簡素化するため、本件照会におけるマンション管理組合とは、マンションを管理する管理組合及び管理組合法人を指すものとさせていただきます。
 なお、マンション管理組合のうち管理組合については、法人税法上、人格のない社団等に該当することを前提として照会させていただきます。

 (2) 区分所有者への駐車場使用等

 人格のない社団等及び公益法人等の課税関係
 本件照会のマンション管理組合は、法人税法上、人格のない社団等又は公益法人等に該当することを照会の前提としたところです。
 法人税法上、内国法人(人格のない社団等を含みます。)に対しては、各事業年度の所得について法人税を課することとされており(法法3、5)、このうち 公益法人等及び人格のない社団等に対しては、各事業年度の所得のうち収益事業から生じた所得以外の所得(以下「非収益事業から生じた所得」といいます。) には法人税を課さないこととされています(法法7)。
 したがって、マンション管理組合に対する法人税は、収益事業から生じた所得にのみ課されることとなります。


 収益事業の範囲
 法人税法上の収益事業とは、販売業、製造業その他の一定の事業で、継続して事業場を設けて行われるものをいい(法法2十三)、この一定の事業には駐車場業が含まれています(法令5@三十一)。
 したがって、マンション管理組合が、継続してマンション駐車場という常設された附属施設で駐車場業を行えば、収益事業に該当し、その収益事業から生じた所得に対して法人税が課されることになります。


 区分所有者を対象とする駐車場の使用
 マンションにおいて、通常は、マンションの居住者が快適な生活を送るためには、住民の間でマンションの維持・管理や生活の基本的ルールとして管理規約を 定める必要があります。このため、国土交通省においては、管理規約の標準的モデルとして「マンション標準管理規約(単棟型)」(以下「標準管理規約」とい います。)等を定めているところです。
 マンションの附属施設として駐車場が設置されている場合、標準管理規約においては、マンション管理組合と駐車場を使用したい特定の区分所有者との間で駐 車場使用契約を締結するという方法を採っているところであり、区分所有者以外の者に駐車場を使用させることは想定されていません(標準管理規約第15 条)。
 また、この駐車場使用による使用料収入は、その管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てることとされており、その使途が限定されています(標準管理規約第29条)。
 このような標準管理規約に沿った管理規約を定めて区分所有者に対して駐車場の使用を認め、マンション管理組合が駐車場の使用料収入を受領している場合、 国税庁ホームページの「質疑応答事例」に掲載されている「団地管理組合等が行う駐車場の収益事業判定」に照らせば、マンション管理組合が行う駐車場の貸出 しは、

@ マンション管理組合の組合員である区分所有者を対象とした共済的事業であること、
A 駐車料金は区分所有者がマンションの附属施設である駐車場の敷地を特別に利用することによる「管理費の割増金」と考えられること、
B 駐車場の使用料収入は、区分所有者に分配されることなく、管理組合において駐車場の管理に要する費用を含めた管理費又は修繕積立金の一部に充当されること

からすれば、マンション管理組合が区分所有法による団体の目的である「建物並びにその敷地及び附属施設の管理」という管理業務の一環として行われるものであり(区分所有法3)、収益事業たる駐車場業には該当しないと解しているところです。

 (3) 区分所有者以外の者を対象とする駐車場の使用

 上記(2)のハでは、標準管理規約においては、区分所有者以外の者が駐車場を使用することは想定されていないとの説明をしたところです。
 このことは、標準管理規約第15条が「マンションの住戸の数に比べて駐車場の収容台数が不足しており、駐車場の利用希望者(空き待ち)が多いという一般 的状況を前提としている」(標準管理規約コメント第15条関係)ことによるものであり、区分所有者以外の者に駐車場の使用を認めることを制限しているわけではありません。
 したがって、標準管理規約に沿った管理規約を定めているマンション管理組合であっても、総会の決議により管理規約を変更して区分所有者以外の者に対して駐車場の使用を認めることは可能です。

3 照会事項(事前照会の趣旨)

 「1 照会の経緯」で説明したとおり、昨今のマンション事情として、マンションに設置された駐車場の利用者が減少し、空き駐車場が生ずるケースが増加しているところであり、この空き駐車場の有効利用方策の一つとして区分所有者以外への使用が検討されています。
 マンション駐車場の区分所有者以外の者の使用(以下「外部使用」といいます。)といいましても、空き駐車場の場所、台数、使用可能期間といった駐車場の 空き状況は個々のマンションごとに異なりますから、駐車場の外部使用についても、その状況に応じた募集方法や契約内容によることとなります。
 このため、本件の照会においては、いくつかのモデルケース(ケース1〜3)を示させていただき、そのモデルケースに対する法人税の課税関係が次の@からBまでのとおりとなると解して差し支えないか、ご照会申し上げます。

@ ケース1:

 駐車場の使用については、外部使用部分だけでなく、区分所有者の使用も含め、そのすべてが収益事業に該当する。

A ケース2:

 駐車場の使用については、外部使用部分のみが収益事業に該当する。

B ケース3:

 駐車場の使用については、区分所有者への使用のみならず、外部使用部分も含め、そのすべてが収益事業に該当しない。

4 モデルケース

 上記3のケース1からケース3までに係る事実関係等を以下において説明しますが、それぞれのケースのマンションの管理規約が、 @外部使用が可能となっていること、 A駐車場の外部使用に係る収益はマンション管理費又は修繕積立金に充当すること(区分所有者に分配しないこと)及び B特に記載していない事項については標準管理規約どおりであることを前提とします。

 (1) ケース1

 Aマンションにおいては、恒常的に相当な台数分の空き駐車場が生じており、マンション管理組合(以下「A組合」といいます。)が区分所有者に対して駐車場需要を確認したところ、当面は空き駐車場が解消する予定がないことが判明しました。
 仮に、この状態が継続し、現行の管理費等(駐車場使用料、管理費及び修繕積立金をいいます。以下同じです。)の金額を増額することなく維持すれば、管理費又は修繕積立金が不足することは明らかなため、A組合では駐車場の外部使用を行うこととなりました。
 この外部使用を開始するに際して、募集は区分所有者と外部者とを分けずに広く行い、使用は区分所有者であるかどうかを問わず申込み順とし、使用料や使用期間などの使用条件についても区分所有者と同様の条件とする予定です。
 したがって、外部使用を行うことにより空き駐車場が解消している状態で、区分所有者から駐車場の使用希望があった場合でも、外部使用を受けている者に対して早期退去を求めるようなことはありません。

 (2) ケース2

 Bマンションにおいても、恒常的に空き駐車場が生じており、マンション管理組合(以下「B組合」といいます。)が区分所有者に対して駐車場需要を確認したところ、当面は空き駐車場が解消する予定がないことが判明しました。
 このため、Aマンションと同様に、Bマンションにおいても駐車場の外部使用を行うこととなりました。
 この外部使用を開始するに際して、募集は区分所有者とは別に外部に対しても広く行いますが、あくまで区分所有者のための駐車場であることから、外部使用に当たっては、区分所有者を優先する条件を設定することとしました。
 具体的には、区分所有者の使用希望がない場合にのみ外部使用を行うこととし、外部使用により空き駐車場が解消している状態で、区分所有者から駐車場の使 用希望があったときには、一定の期間(例えば3か月)以内に、外部使用を受けている者は明け渡さなければならないという条件です。

(注)

 上記の外部使用を受けている者の明け渡しについては、使用期間を1年とする契約である場合には、使用期間の満了時において区分所有者の使用希望があるときには使用期間を更新しないことといった条件を付すことにより、区分所有者の優先使用を確保することも考えられます。

 (3) ケース3

 Cマンションにおいては、先日、区分所有者の異動により空き駐車場が生じることとなりましたが、他の区分所有者の中には使用希望者がいないため、区分所有者から使用希望者が現れるまでの間、空き駐車場の状態にしておく予定でいました。
 この度、近隣で道路工事を行っている土木業者から、マンション管理組合(以下「C組合」といいます。)に対して、工事期間(約2週間)に限定して空き駐車場を使用したいとの申出がありました。
 これを受けて、C組合で検討した結果、短期間であり、区分所有者の利用の妨げにならないと考えられることから、これに応ずることにしたところです。

5 理由(照会者の求める見解となることの根拠)

 上記2の(2)において、マンション管理組合が行う区分所有者に対する駐車場の使用は、マンション管理組合が区分所有法による団体の目的である「建物並びにその敷地及び附属施設の管理」という管理業務の一環として行われているから収益事業に該当しないとする理由は、次の@からBまでとしています。

@

 マンション管理組合の組合員である区分所有者を対象とした共済的事業であること

A

 駐車料金は区分所有者がマンションの附属施設である駐車場の敷地を特別に利用することによる「管理費の割増金」と考えられること

B

 駐車場の使用料収入は、区分所有者に分配されることなく、管理組合において駐車場の管理に要する費用を含む管理費又は修繕積立金の一部に充当されること

 これらを外部使用に当てはめれば、まず@についてですが、少なくとも駐車場の外部使用は「区分所有者を対象」としないものですから、ケース1からケース3までのいずれについても区分所有者のための「共済的事業」と言い切れるものではありません。
 また、Aについても、駐車場の外部使用による収入は、区分所有者以外の者からの収入であることから、「管理費の割増金」と考えることができない部分があることとなります。
 なお、Aについては、上記4のAのとおり「駐車場の外部使用に係る収益はマンション管理費又は修繕積立金に充当すること(区分所有者に分配しないこと)」を照会の前提としていることから(上記4参照)、すべてのケースにおいて満たしていることとなります。
 これらの点を踏まえ、以下においては、それぞれのケースに対する収益事業判定に係る照会者としての見解を説明いたします。


 (1) ケース1

 A組合が行う外部使用は、募集は外部に対しても広く行い外部使用の条件も区分所有者に対するものと同様の条件とすることとしています。また、外部使用を 行っている状態で、区分所有者から駐車場の使用希望があったとしても、外部使用を受けている者に対して早期明け渡しを求めません。
 これらのことからすれば、区分所有者に対する優先性がまったく見られず、Aマンションの敷地内にあるものの、管理業務の一環としての「共済的事業」とは認められず、市中の有料駐車場と同様の駐車場業を行っているものと考えられます。
 したがって、ケース1の場合には、区分所有者に対する使用と区分所有者以外の者に対する使用を区分することなく、その全体が収益事業たる駐車場業に該当することとなると考えております。


 (2) ケース2

 B組合が行う外部使用についても、募集は外部に対しても広く行うこととしています。
 しかしながら、区分所有者の使用希望がない場合にのみ外部使用を行うこととし、また、外部使用を行っている状態で区分所有者から駐車場の使用希望があった場合には、一定の期間(例えば3か月)以内に、外部使用を受けている者は明け渡さなければならないといった区分所有者を優先する条件を設定することとしています。
 これらのことからすれば、B組合が行う駐車場使用には、区分所有者に対する一定の優先性が見られることから、少なくとも区分所有者の使用に限れば、管理業務の一環としての「共済的事業」であり、収益事業たる「駐車場業」には該当しないと考えられます。
 次に、区分所有者以外の者に対する外部使用ですが、この外部使用を区分所有者に対する使用と一体不可分のものとして行っているかについて検討すれば、次の点からすれば、外部使用は管理業務の一環としての「共済的事業」とは別に、異なる独立した事業を行っていると考えることが相当です。


@

 外部使用の募集は、区分所有者への使用とは別に、広く外部に向けて行っていること。

A

 区分所有者に対する使用に一定の優先性が見られるなど、区分所有者と区分所有者以外との間で使用条件が異なること。

B

 外部使用は、区分所有者からの使用希望があれば、一定の期間後に終了するものの、区分所有者からの使用希望がなければ長期間となること(短期間とは限らないこと)。

C

 管理費又は修繕積立金が不足するおそれに備えて、収入を得ることが目的であること。


 このように独立した事業である駐車場の外部使用について、収益事業に該当するかどうかの検討をすれば、駐車場の使用であり、かつ、使用する者が区分所有者以外であることから、「共済的事業」及び「管理費の割増金」といった性質のものではないため、「駐車場業」(法令5@三十一)として収益事業に該当することとなります。
(注)

 収益事業から生ずる所得に関する経理と収益事業以外の事業から生ずる所得に関する経理とを区分して行わなければなりませんが(法令6)、この区分経理を行っているかどうかが収益事業に該当するかどうかの判断基準とはならないと認識しております。


 (3) ケース3

 C組合が行う外部使用は、そもそも積極的にC組合が外部使用を行おうとしたわけではなく、相手方(区分所有者以外の者)の申出に応じたものであり、また、区分所有者の利用の妨げにならない範囲内で、ごく短期的に行うものですから、ケース2において上記(2)の@からCまでに掲げた区分所有者に対する使用とは異なる独立した事業とすべき事情も存在しません。
 したがって、C組合が行う外部使用は、管理業務の一環としての「共済的事業」である区分所有者に対する駐車場使用と一体的に行っているものと考えられます。
 次に、一体的に行っている事業(管理業務)における収入の一部が区分所有者以外の者からの収入(外部使用による駐車場収入)であることをもって、その事業全体が収益事業である駐車場業に該当するかどうかについて検討をします。
 この点、収益事業の範囲については、収益事業には「その性質上その事業に付随して行われる行為を含む。」(法令5@)とされていることからすれば、収益事業に該当しない事業にも「その性質上その事業に付随して行われる行為を含む。」と整理することができると考えています。
 したがって、C組合が行う外部使用については、管理業務の一環として行われている区分所有者に対する駐車場使用に付随して行われる行為であることから、 この外部使用を含めたC組合が行う駐車場使用の全体が収益事業には該当しないものと解して差し支えないと考えたところです。

6 参考

 (1) 収益事業に該当する場合の所得金額の計算について

 上記のとおり、マンション管理組合の管理業務全体としてみれば、ケース1及びケース2の場合には、管理業務の一環としての「共済的事業」(非収益事業) と駐車場業という収益事業とを行っていることになりますが、この場合における収益事業に係る所得計算における費用又は損失の額については、法人税基本通達 15-2-5(費用又は損失の区分経理)に従って計算することとなります。

○ 法人税基本通達
  (費用又は損失の区分経理)
15-

2-5  公益法人等又は人格のない社団等が収益事業と収益事業以外の事業とを行っている場合における費用又は損失の額の区分経理については、次による。
(1) 収益事業について直接要した費用の額又は収益事業について直接生じた損失の額は、収益事業に係る費用又は損失の額として経理する。
(2) 収益事業と収益事業以外の事業とに共通する費用又は損失の額は、継続的に、資産の使用割合、従業員の従事割合、資産の帳簿価額の比、収入金額の比その他当該費用又は損失の性質に応ずる合理的な基準により収益事業と収益事業以外の事業とに配賦し、これに基づいて経理する。
(注) 公益法人等又は人格のない社団等が収益事業以外の事業に属する金銭その他の資産を収益事業のために使用した場合においても、これにつき収益事業から収益事業以外の事業へ賃借料、支払利子等を支払うこととしてその額を収益事業に係る費用又は損失として経理することはできないことに留意する。

 したがって、ケース1においては、募集に要した費用や駐車場の維持管理に要した清掃費・日常点検費用のほか管理費から支出する経常的な補修費などは、同通達(1)の「直接要した費用の額」に該当することとなると考えられます。
 また、ケース2においては、外部に対する募集に要した費用など、外部使用を行うために要した費用は、同通達(1)の「直接要した費用の額」に該当し、駐車場の維持管理に要した清掃費・日常点検費用のほか管理費から支出する経常的な補修費などは、区分所有者への使用と外部使用に共通する費用ですから、同通達(2)の「共通する費用・・の額」に該当し、台数及び使用期間などの合理的な基準により外部使用に係る費用の額を配賦することになります。
 なお、駐車場施設をはじめとする外部使用に必要な資産は、区分所有者の共有物であり、マンション管理組合の所有物ではないことから、通常、マンション管理組合の収益事業にかかる所得計算において減価償却費が計上されることはないと認識しております。

(2)

 団地管理組合等が管理する駐車場について
 本件照会においては、上記2(1)のハにおいて、管理組合及び管理組合法人をマンション管理組合と定義付け説明してまいりましたが、団地管理組合及び団地管理組合法人(団地管理組合等)においても、マンション管理組合と同様に建物の所有者の共有に属する駐車場を管理することがあり、建物の所有者以外の者に当該駐車場を使用させた場合の収益事業の判定もマンション管理組合と同様に行うものと考えております。



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